すき焼きと言えば、牛肉の霜降りが入ったイメージが強い中、老舗すき焼き屋「ちんや」が驚きの宣言をしました。
老舗すき焼き「ちんや」浅草の社長である住吉史彦さんが「もう、霜降り肉は出しません」と公言したのだ。
創業明治13年の老舗すき焼き屋の発言に、インパクトが大きいが霜降り肉を出さない理由を聞いて納得できました。
老舗すき焼き「ちんや」浅草では、すき焼きの具材のネギからまず焼き始めます。
ネギが香ばしくはじける音が出始めると、牛肉を入れ、すき焼きの割り下を入れる。
まず肉の味を楽しんだ後に、シイタケや豆腐などを入れてすき焼き鍋を楽しむ老舗である。
すき焼き「ちんや」の霜降りやめる理由
すき焼き屋の最近の霜降りに対する演出は、行き過ぎている傾向にあると老舗すき焼き「ちんや」浅草の代表は語る。
分かりやすく霜降りを脂肪(サシ)と表現すると、ロースにくで脂肪が50%ほどが平均であり、中には75%以上の脂肪割合のロースを出すすき焼き屋もあるという。
確かに、見た目は凄く脂の乗った極度の霜降りでインパクトがあるのは想像できる。
しかし、老舗すき焼き「ちんや」浅草の代表によると「脂肪」には「旨味」が含まれていないという。
脂肪は多くても少なくても無味無臭であるため、肉の旨味は変りない。
脂肪はまったくなければパサついた食感になっていまう。
つまり、脂肪は肉の旨味を表現するのではなく「マイルド」さを表現しています。
肉の旨味の正体は、赤身部分のアミノ酸によって引き立てられるものです。
そこに食感という要素の脂肪(サシ)が加われることで、おいしいとより感じるようになる。
老舗すき焼き「ちんや」浅草の代表は、この絶妙なバランスが脂肪割合(サシ)30%ほどと断言しました。
だから、すき焼き「ちんや」では霜降り肉を封印し、「適サシ肉」を提供する決定をしました。
確かにその説明を聞けば、本当に旨味を感じる赤身部分を味わえ適度な脂肪(サシ肉)が有れば食感も楽しめる感じがします。
誰しも疑問に思う「超霜降り」美味しいのか?
超が付く高級店に行くと、ビックリするほどの霜降り肉が出てくることが多々あります。
人生で一度は、このような肉を見たり食べたりした経験がある人も多いことでしょう。
その私も、以前遠い昔、脂肪がやたら多く入った超霜降り肉のすき焼きに遭遇したことがあります。
迫力のある超霜降り肉を前に、想像以上の期待を寄せてすき焼きを食べたのですが、違う意味での衝撃が走りました。
『ん?美味しいけど、重すぎる味。ところどころ味の途切れる脂に。。。』という印象でありました。
これは老舗すき焼き「ちんや」浅草の代表が言う、脂肪75%以上の行き過ぎた霜降り肉でした。
超高級店の肉であるから、これが美味しいに違いない。
美味しいものの、1枚食べるのがやっとなくらいのオモイ印象を受けた霜降り肉。
これも老舗すき焼き「ちんや」浅草の代表が言っていた「人間は自分の味覚を否定することができる動物」という言葉に納得するものであった。
普段毎日のように、超霜降り肉を食べていない私のような人間にとって味が分からない事を否定する場面が多いのではないでしょうか。
『こんなにも超高級なお肉がおいしいと感じないのは、自分の味覚が変なんだ』と思いこんで、霜降りが多いほど美味しいと思い込んでしまっている。
老舗すき焼き「ちんや」浅草の代表は、このような現代のすき焼き文化では本当においしい肉の味が味わえなくなってしまうのではないかと感じました。
だから、赤身の旨味を引き立てるにふさわしい最適な脂肪(サシ)率の肉を使うことにしたのです。
つまり、赤身の旨味よりも行き過ぎた脂肪量が勝たないよう、最高な脂肪割合の「適サシ肉」を使い、本当の旨さをお客様に味わってもらいたいと言いう事です。
「高級=霜降り」よりも旨味を優先
確かに、「高級=霜降り」という印象はすき焼きにはあります。
この旨味の説明を知らない状態で、私がすき焼き屋さんで接待を受けており、「超霜降り肉」でなく「適度なサシ肉」であったら『えっ、何で?』と心で叫んでしまうでしょう。
行き過ぎた霜降り肉では、本来の旨味が多すぎる脂に包まれてしまい重い食感になってしまいます。
しかし、現代のすき焼き文化では「高級=霜降り」というイメージが先行してしまっているので仕方がありません。
老舗すき焼き「ちんや」浅草の代表は、「もう霜降り肉は使わない」という大きな決断をしましたが胃もたれもしにくい旨味を優先した「適度なサシ肉」で固定客を満足させることでしょう。
実際、超霜降り肉をやめて「適度なサシ肉」を取り扱うようになってから、老舗すき焼き「ちんや」浅草の評判はより良くなりました。
贅沢ではありますが、超霜降り肉と適度なサシ肉の食べ比べすき焼きコースなんかがあると楽しめそうです。